法人を設立したら必ず必要なのが銀行口座です。売上の振込、仕入れ代金の支払い、クレジットカードの引き落としなど、銀行口座なしには事業活動は行えません。
最近ではマネーロンダリング対策により、銀行口座を開設するのが難しくなっています。法人の口座開設は個人の口座開設とかなり違うという事を認識された方が良いでしょう。しっかりと必要書類を準備して、スムーズに銀行口座を開設していきましょう。
銀行の種類
金融機関にはいくつかの種類があります。それぞれのメリットデメリットを考えて銀行を選びましょう。なお、一般的な小規模の起業であれば、信用金庫か地方銀行がおすすめです。
都市銀行(メガバンク)
都心に本店があり、全国に支店を持つ。三菱UFJ、みずほ、三井住友が3大メガバンク。高額な融資や海外振り込みなど幅広いサービスに対応しています。対外的な信用力も高いです。ただし、審査が厳しく規模の小さな企業では口座を開くのは難しいです。メガバンクではインターネットバンキングサービスには月額2,000円~3,000円程度の手数料がかかります。
ネット銀行
店舗を持たずにネット上だけで営業。住信SBIネット銀行、PayPay銀行GMOあおぞらネット銀行など。ほとんどの金融サービスがネット上で完結し、利便性が高いです。固定電話も印鑑も不要です。最短で即日口座開設も可能です。また、店舗を持たずに固定費が抑えられるため、各種手数料が安価になっています。
デメリットとしては、対外的な信用度としては高くないという部分と、役所の還付口座で対応していない場合があります。(この点、GMOあおぞら銀行はデメリットをクリアしています)
地方銀行
都心以外に本店があり、規模に応じて各地に支店があります。千葉銀行、群馬銀行、北洋銀行など。メリットは、その地方銀行のメイン地域では影響力が高く、知識も豊富です。地場の中小企業には親身になって相談に乗ってくれる可能性もあります。デメリットとしては、規模的には大小様々なので、大きな金額の融資が難しかったり、時間がかかったりするケースがあります。
信用金庫
信用金庫は、地域に住む人たちの共同体が母体となっている金融機関です。営利企業であるメガバンクやネット銀行と違って、信用金庫の存在意義は、会員や地域社会の利益です。起業直後の法人や中小企業に対して新味に寄り添ってくれる可能性があります。起業直後のメインバンクとしては非常にオススメです。信用保証付き創業融資の受け皿にもなっているので、信用保証協会の保証付き融資を検討する場合は信用金庫の口座開設が必要です。
ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行は法人口座に向いていません。1,300万円という預け入れの上限があるからです。
おすすめの銀行は?
創業時におすすめなのはGMOあおぞらネット銀行
創業時に特におススメの銀行はGMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行です。コスト面で圧倒的に安いです。特にGMOあおぞらネット銀行は、社会保険料の引き落とし、国税のダイレクト納付にも対応しているのでネット銀行の中でも利便性が非常に高いです。
主要銀行のネットバンキング利用料と費用一覧
銀行名 | ネット利用料 | 同一銀行あて (3万未満) | 同一銀行あて (3万以上) | 他行あて (3万未満) | 他行あて (3万以上) |
三菱UFJ銀行 法人口座 (BizSTATION) | 1,760円/月 | 110円 | 330円 | 484円 | 660円 |
三井住友銀行 法人口座 (パソコンバンクWeb21 <デビュー>タイプ) | 2,200円/月 | 220円 | 440円 | 550円 | 770円 |
みずほ銀行 法人口座 (みずほビジネスWEB) | 3,300円/月 | 220円 | 440円 | 490円 | 660円 |
りそな銀行 法人口座 (りそなビジネスダイレクト Mini) | 3,300円/月 | 330円 | 330円 | 660円 | 660円 |
住信SBIネット銀行 法人口座 | 無料 | 無料 | 無料 | 145円 | 145円 |
GMOあおぞらネット銀行 法人口座 (通常会員) | 無料 | 無料 | 無料 | 145円 (毎月20回まで無料) | 145円 (毎月20回まで無料) |
GMOあおぞらネット銀行 法人口座 (振込料金とくとく会員) | 500円/月 | 無料 | 無料 | 135円 | 135円 |
PayPay銀行 法人口座 | 無料 | 55円 | 55円 | 160円 | 160円 |
楽天銀行 法人口座 | 無料 | 52円 | 52円 | 150円 | 229円 |
参考:GMOあおぞらネット銀行の保険料口座振替の開始(厚生労働省)
参考:ネット銀行初「Pay-easy(ペイジー)」ダイレクト納付に対応!地方税の共通納税も対応開始し、一層便利に
銀行口座作成における必要書類
銀行によって異なりますが、一般的に必要な書類は下記のとおりです。
- 登記事項証明書
- 印鑑登録証明書
- 定款
- 代表取締役の身分証
- 設立届の控え
会社の実印と、銀行用の印鑑も必要になるので用意してください。ネット銀行では銀行用の印鑑が不要な場合もあります。
銀行口座開設までの流れ
1 口座を開設したい支店で申込&必要書類提出
2 (場合によって)担当者と面談
3 審査(2日~2週間程度)
4 窓口、または郵送で通帳とキャッシュカードを受領
5 ネットバンキング申込(2~3週間)
6 手続き終了
当面は普通預金でOK
銀行口座の種類は普通預金でOKです。大企業などでよく見る当座預金口座は取引実績が必要であり、小切手や手形専用の口座なので当面は不要です。一方で、多額の取引を行う場合や、小切手や手形の取引が必要な事業の方は、当座預金の開設が必要になってきます。
他にも普通預金は1,000万円までの保証制度(ペイオフ)があり、利息が付きます。当座預金は保証金額に上限がなく全額が保証されますが、利息は付きません。さらに、2回の不渡り(残高が不足し引き落とせない)が発生すると口座が取引停止となり、実質的に倒産となります。