会社を興すにあたり、会社の名前（商号）は大変重要です。会社名は基本的に自由ですが、いくつか守らなければいけないルールがあります。ルールを抑えた上でしっかりと考えて決めていきましょう。
会社名を決める際のルールってなに？
まず初めにNGルールは以下になります。
・同一住所、同一商号はNG（住所が異なればOK）
・〇〇事業部や〇〇支店など、会社の一部門を表すような言葉はNG
・異なる住所でも類似事業をしている会社との同一商号は訴訟リスクあり
・銀行や信託以外の企業がこれらの言葉を使うのはNG
会社名ルールの補足
以前は、同一の市区町村内に本店所在地が所在する事業目的が同一の商号の場合は、類似企業といってNGにされていました。現在はその規制が緩和され、法令上は登記可能となっています。ただし、同様の事業をしている企業と同一商号の場合、商号の差し止めや損害賠償請求を起こされるリスクがあります。相手企業が全国的な知名度のある企業である、または商業規模的に大きな企業ほど、そのリスクは高まります。
なお、同一住所の場合、読み方が違っていても表記が同一であればNGです。
それ以外のルールは以下になります。
・社名に使える文字は、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、数字のほか、「・」、「．」、「＆」、「，」、「’」。「－」、の6種類の記号
・組織形態（株式会社など）は前か後に付ける
どんな会社名が良いの？
どんな会社名にするかは、経営者のセンスが問われるところであり、企業の経営やイメージに影響してくるので、とても重要です。どのような観点で決めればよいのでしょうか。
一般論で言うと、会社名は事業内容や企業の個性を反映すべきであり、会社名を聞いただけで何をやっている会社なのかを想起させることができれば理想です。
事業内容や企業の個性を反映した企業名の事例
FedEx（Federal Express）
事業内容: 世界中で速達サービスを提供する宅配便会社
企業の特徴: 迅速な配送サービス
社名の意味: 「Federal Express」は、全国的に迅速な配送サービスを提供することを示しています。
Microsoft
事業内容: ソフトウェア、コンピュータ、電子機器の開発および販売
企業の特徴: マイクロコンピュータ用のソフトウェア
社名の意味: 「Microcomputer」と「Software」の組み合わせで、マイクロコンピュータ用のソフトウェアを提供する企業であることを示しています。
Airbnb
事業内容: 宿泊施設の貸し出しプラットフォーム
企業の特徴: 簡単に宿泊施設を見つけて予約できるサービス
社名の意味: 「Air Bed and Breakfast」の略で、当初はエアマットレスを使った簡易宿泊施設の提供から始まりました。
PayPal
事業内容: オンライン決済サービス
企業の特徴: 安全で迅速なオンライン決済
社名の意味: 「Pay（支払う）」と「Pal（仲間）」の組み合わせで、簡単に支払いを行えるサービスを表しています。
Twitter（現 X）
事業内容: ソーシャルメディア・プラットフォーム
企業の特徴: 短文（ツイート）による情報発信とリアルタイムのコミュニケーション
社名の意味: 「Twitter」は英語で「さえずり」という意味を持ち、小鳥が短い音でさえずる様子をイメージしています。これは、ユーザーが短いメッセージ（140文字以内、現在は280文字以内）を投稿してリアルタイムにコミュニケーションを取るプラットフォームの特徴を表現しています。
セブン-イレブン
事業内容: コンビニエンスストアの運営
企業の特徴: 24時間営業と幅広い商品ラインナップ
社名の意味: もともとは「朝7時から夜11時まで営業する店」という意味で命名されましたが、現在は24時間営業を行っています。
これらの企業名は、それぞれの事業内容や企業の特徴を端的に表現し、ブランドの認知度を高める役割を果たしています。
5Iの原則
ただし、あまりに安直すぎると記憶に残りにくかったりするので、ネーミングにおける「５I」の原則をご紹介します。
Impact インパクト
Interest 興味
Information 情報
Impulsion 促進
Idea アイディア
会社名の中にこれら５Iが含まれると、記憶に残りやすく意義深い名前を創出できると言われています。
市場のニーズや顧客層、ブランド戦略を考慮して決めていきましょう。
会社名変更の事例
会社名（商号）は一度決めたあとでも、商号変更と言って変更することができます。余談ですが、有名企業でも社名を変更している事例がいくつかあるのでご紹介します。
・コウゾウ→メルカリ
・イー・マーキュリー→ミクシィ
・松下電器産業→パナソニック
・富士重工業→SUBARU
社名変更の理由は、事業内容の変化やブランド戦略上の理由が多いようです。
参考法令
会社法第8条
商業登記法第27条
不正競争防止法第4条
