「経理を丸投げしたい」と検索される方の多くは、すでに限界が来ています。経理担当が辞めた、社長が夜と週末に領収書を打ち込んでいる、月末の支払いが山になる。この記事では、税理士に経理を丸投げすると実際にいくらかかり、どこまで任せられて、何が手元に残るのかを、当事務所の実際の料金と運用にもとづいて書きます。
相場の話だけで終わらせず、顧問先40社の経理をお預かりしている中で実際に使っている金額と手順を、そのまま出します。
「丸投げしたい」と思うのは、たいてい3つの場面
ご相談をいただくきっかけは、ほぼこの3つに集約されます。
- 経理担当が辞めた・採用しても定着しない/結局、社長が夜と週末に入力している
- 請求書の支払いが月末に山になる/紙・PDF・メールに散らばり、払い漏れや二重払いが怖い
- 記帳が追いつかず、試算表が締まらない/月次の数字がいつも数か月遅れで、判断の材料にならない
いずれも「一部だけ手伝ってほしい」では解決しません。工程が途中で切れると、結局そこで滞留するからです。丸投げが選ばれるのは、切れ目をなくすためです。
税理士に丸投げできる経理業務は、7つに分かれる
「経理の丸投げ」と一口に言っても、中身は7つの工程に分かれます。どこまでを任せるかで、料金も、手元に残る作業も変わります。
| 工程 | 任せると何が起きるか |
|---|---|
| 記帳・仕訳 | 会計ソフトへの仕訳計上と月次試算表の作成。経理の土台がまるごと外に出ます。 |
| 買掛管理(支払) | 届いた請求書の集約・内容確認・支払期日の管理。請求書に触れる必要がなくなります。 |
| 振込データの作成 | 支払期日に合わせて総合振込・給与振込のデータを作成。ネットバンキングに取り込むだけの状態で届きます。 |
| 売掛管理(入金) | 売上請求の入金確認と消込。未入金の把握が自動的に回ります。 |
| 給与計算 | 毎月の給与計算から年末調整、明細の発行まで。 |
| 経費精算 | 立替経費の内容チェックと精算処理。 |
| 決算・申告 | 年1回の決算書作成と法人税・消費税等の申告。 |
当事務所では、顧問先40社の経理をお預かりしています。「記帳だけ」ではなく、お金の入りから出までを一体で持つのが標準という前提で設計しています。
「記帳代行」と「経理代行」は何が違うのか
この2つは混同されがちですが、範囲がはっきり違います。
記帳代行は、上の表でいう「記帳・仕訳」だけを指します。通帳や領収書をお預かりして会計ソフトに入力し、試算表を作るところまでです。多くの事務所が「仕訳1件あたり◯円」「月◯件まで◯円」という形で料金を出しているのは、この範囲を指しています。
経理代行は、記帳の前後にある実務まで含みます。請求書を受け取って支払期日を管理する、振込データを作る、入金を消し込む、給与を計算する。お金が動く前の準備と、動いた後の記録の両方です。
「記帳だけ頼んだが、結局こちらの作業が減らなかった」という話が起きるのはこの差です。仕訳を入力するだけなら、経理の仕事はまだ半分も回っていません。請求書を開いて、期日を確認して、振込の準備をする——この部分が手元に残っている限り、月末の負荷は変わらないからです。
丸投げできないこと
先に、できないことを書きます。ここを曖昧にしたまま契約すると、「丸投げしたはずなのに作業が減らない」という不満になります。
1. 振込の実行(アップロード・承認)
資金を動かす操作は、必ず貴社で行っていただきます。当事務所が担当するのは振込データの作成までで、ネットバンキングへの取り込みと承認は貴社の手で行う設計です。安全のための線引きであり、この一点は動かしません。
2. 社会保険の手続き・労務相談
社会保険労務士の独占業務にあたるため、提携の社会保険労務士と連携して対応します。給与計算との橋渡しは当方で設計します。
3. 請求書の発行代行(売上側)
請求書の発行はクラウド会計ソフトで自社で早く・低コストにできるため、代行はしていません。代行するとかえって情報連携の手間が増え、依頼する側の利点が小さいからです。発行体制の立ち上げはお手伝いします。
4. freee以外の会計ソフトでの経理代行
当事務所のサービスはfreeeの利用を前提に設計しており、他の会計ソフトには対応していません。他ソフトをお使いの場合は、freeeへの移行支援からお手伝いします。
費用はいくらか
「経理 丸投げ 費用」で調べると相場表が並びますが、多くは記帳代行だけの単価です。仕訳数あたりいくら、という形で示されるため、実際に丸投げしたときの総額とは開きが出ます。
ここでは相場ではなく、当事務所の実際の料金を、税務顧問料・決算申告料まで含めた年間の総額で示します。
従業員7名・年商5,000万円の場合
経理担当はおらず、社長と総務が兼務している会社を想定します。
| 経理代行(月額) | 70,000円 |
| 税務顧問料(月額) | 50,000円 |
| 決算申告料(年1回) | 350,000円 |
| 年間の総額 | 1,790,000円(税抜) |
月あたりに均すと約149,000円です。
従業員15名・年商1.5億円の場合
経理を1人雇うか、外に出すかを迷っている規模です。
| 経理代行(月額) | 250,000円 |
| 税務顧問料(月額) | 80,000円 |
| 決算申告料(年1回) | 560,000円 |
| 年間の総額 | 4,520,000円(税抜) |
月あたりに均すと約377,000円です。
金額は取引量・拠点数・給与計算の人数によって変わります。また、はじめの2か月は業務を引き継ぎながら運用をすり合わせる期間のため、トライアル価格(定価の半額程度)でお受けしています。合わないと感じられた場合は、そこで終わりにしていただけます。
経理担当を採用する場合と比べる
丸投げを検討する方が本当に比べたいのは、他社の料金ではなく「雇う場合」との差だと思います。
経理職の平均年収は500万円前後(複数の転職サービスが公表している調査による)で、従業員100人未満の企業ではこれより低いのが実勢です。年収450万円の人を雇えば、社会保険料の会社負担(年収の15.7〜16.5%)を含めて会社の負担は年520万円前後になります。これに採用費と教育にかかる時間が乗ります。
従業員15名規模で買掛・売掛・給与15名分・経費精算・記帳を1人で回すには相応の経験が必要になるため、経験者の採用またはパート2人体制を前提に置いています。
金額以上に大きいのが退職リスクです。経理は業務が属人化しやすく、担当者が辞めると引き継ぎに時間がかかり、その間は社長が代わりに手を動かすことになります。そして次の人を採用するコストがまたかかります。外に出していれば、この波が来ません。
丸投げしても、貴社に残る作業は3つ
経理代行でいちばん多い不満は「丸投げしたはずなのに、結局こちらの作業が減らない」というものです。だから曖昧にしません。お願いするのは、この3つだけです。
- 請求書の送り先を、一度だけ切り替える/取引先へのご案内文はこちらで用意します。最初の一度きりで、以降は請求書に触れる必要がなくなります。
- レシートをスマホで撮る/現金で払った分だけ。撮って送っていただければ、こちらで処理します。
- 振込データを取り込んで、承認する/お渡しした振込データをネットバンキングに取り込み、承認していただきます。資金を動かす操作は必ず貴社で。
逆に言えば、これ以外の工程は手元に残りません。
実際にどう動くのか
いちばん変わるのが請求書の処理です。理想の形は、取引先に請求書を専用のメールアドレスへ直接送ってもらう体制です。請求書が貴社の手元を経由しなくなるため、受け取り・整理・保管・入力・振込準備がすべて貴社の仕事でなくなります。
- 取引先が直接送る/専用アドレス宛に請求書が届きます
- 1か所に集まる/請求書受領システムに集約され、電子帳簿保存法にも対応します
- 当事務所が計上/税区分・インボイス登録番号まで確認して会計ソフトへ
- 振込データになる/支払期日に合わせて作成し、お渡しします
もちろん、貴社に届いたものを転送するだけの運用から始めることもできます。当事務所では現在このフローを5社で運用しています。
なお、初回のご相談から本稼働までは2〜3か月を目安にみてください。業務の棚卸しと運用設計に時間をかけたほうが、結果として早く安定します。
丸投げのデメリットと、その対処
良いことばかりではありません。検討する前に知っておいていただきたい点を3つ挙げます。
社内に経理の知識が残らない
工程を外に出す以上、社内に経理の実務経験は蓄積されません。将来的に経理部門を自社で持つ方針であれば、丸投げは遠回りになります。
一方で、数字を読む力と、入力する力は別物です。試算表の読み方や資金繰りの見方は、月次の打ち合わせでお伝えできます。「経理を自社でやる」ことと「経営の数字がわかる」ことを分けて考えると、判断しやすくなります。
依頼先を変えるときに手間がかかる
外注先を変えると、運用の引き継ぎが発生します。これは事実です。
当事務所では、データを自社のシステムに囲い込まず貴社のfreeeアカウントの中に置く設計にしています。仕訳も証憑も貴社の資産として残るため、万一お別れすることになっても、データごと持ち出せない状態にはなりません。手順も文書に残します。
月次の数字を見なくなる
任せきりにすると、試算表が上がってきても開かなくなる——これは実際に起きます。
ただ、丸投げしていない会社のほうが数字を見ているかというと、そうとは限りません。記帳が数か月遅れていれば、そもそも見る数字が存在しないからです。資料が適切に共有されていれば、経営の数字はむしろ早い段階で見えるようになります。
税理士と経理代行会社、どちらに頼むか
経理の丸投げ先には、税理士事務所と、税理士資格を持たない経理代行会社の両方があります。料金だけを見れば代行会社のほうが安い場合もありますが、違いは工程が途中で切れるかどうかです。
- 月次から決算・申告まで一体で担当できる/代行会社に記帳を頼むと、決算と申告は別の税理士に依頼することになります。数字の前提が2者に分かれると、確認のやり取りが増えます
- 仕訳の段階で税務判断ができる/記帳は「入力」ではなく判断の連続です。交際費と会議費、資産計上と一括経費、消費税の区分。ここを決算時にまとめて直すと手戻りが大きくなります
- 守秘義務が法律で定められている/税理士には税理士法上の守秘義務が課されており、違反には罰則があります
当事務所は顧問先の9割以上から記帳までまるごとお預かりしている「預かる前提」の事務所です。開業以来、お客様のご都合による解約は一度もありません(2026年8月現在)。
よくある質問
遠方でも依頼できますか?
全国対応です。日々のやり取りはチャットツール(貴社がお使いのもの)で行い、打ち合わせはWeb会議で完結します。
いまは自分で経理をしています。引き継ぎは大変ですか?
会計ソフトの現状を拝見したうえで、初月に運用設計と移行を当方で行います。過去分の整理が必要な場合も、範囲を決めてお引き受けします。
サービス料金のほかに、かかる費用はありますか?
freee有料プランの利用料は貴社にてご契約・ご負担いただきます。また請求書の支払処理が月50件以上、または経費精算が月100件以上の場合は、請求書受領システムを別途貴社にてご契約いただく必要があります。
合わなかったとき、解約はできますか?
はじめの2か月はトライアル価格の期間ですので、合わないと感じられたらそこで終わりにしていただけます。その後も1か月前のお申し出で解約でき、期間の縛りはありません。
顧問税理士は変えないといけませんか?
月次から申告まで一体で品質を担保するため、税務顧問とセットでのご契約をお願いしています。経理代行のみのご契約は承っておりません。
まとめ
- 丸投げできるのは7つの工程(記帳・買掛・振込データ・売掛・給与・経費精算・決算申告)
- できないのは振込の実行・社会保険手続き・請求書の発行代行・freee以外での対応
- 費用は従業員7名で年179万円、15名で年452万円(税務顧問料・決算申告料込み・税抜)
- 採用する場合と比べて年148万〜371万円軽く、退職リスクもなくなる
- 手元に残るのは送り先の切り替え・レシート撮影・振込の承認の3つだけ
まずは30分、いまの経理の状態をお聞かせください。現状の経理体制と処理の流れをうかがい、貴社の課題をどのように解決できるのかをお話しします。うかがった内容をもとにお見積りをご提出します。無理な営業はしません。
この記事で書いた7つの工程を、freeeとバクラクを使ってどう回すのか。料金の内訳、導入までの流れ、お受けしないことまで、サービスの全体像をまとめています。
