記帳代行や経理代行の料金を調べると、「月5,000円から」と書いてあるページと「月30万円」と書いてあるページが並んで出てきます。どちらも間違いではありません。含まれている業務がまったく違うだけです。

ここでは記帳代行・経理代行・税理士顧問料の3つを分けて相場を整理し、最後に年間の総額で並べます。月額だけで比べると判断を誤るためです。

料金がわかりにくいのには理由が3つあります

  • 言葉の定義が揃っていない/「記帳代行」「経理代行」「経理アウトソーシング」「バックオフィス代行」が、事業者ごとに違う範囲を指しています
  • 料金体系が3種類ある/月額固定・仕訳単価の従量課金・時間単価。同じ会社でもプランによって混在します
  • 決算料が別建て/税理士の場合、年に一度の決算申告料が年間コストの3分の1を占めます。月額だけ見ていると見落とします

記帳代行の相場

帳簿を作る作業だけを頼む場合です。1仕訳あたり50〜100円の従量課金が主流で、件数別の目安は次のとおりです。

月間の仕訳数月額の目安
〜100仕訳5,000〜10,000円
100〜250仕訳6,000〜20,000円
時間制の場合1時間あたり2,000〜3,000円

税理士事務所に記帳代行を頼む場合は月5,000円〜5万円が相場とされ、記帳代行専門の会社より高くなります。資格の有無で単価が変わるためです。

従量課金には注意点があります。取引が増えれば料金も増えます。月100仕訳で1万円だったものが、事業が伸びて月400仕訳になれば4万円です。安く始まっても、伸びる会社ほど後で効いてきます。

仕訳数ごとの料金の目安

仕訳数で料金が決まる場合の目安を、100仕訳ごとに分けると次のようになります。

月間の仕訳数月額の目安
〜100仕訳5,000円〜1万円
101〜200仕訳1万円〜2万円
201〜300仕訳2万円〜3万円
301〜400仕訳2.5万円〜4万円
401仕訳〜3万円〜(件数に応じて加算)

各段の上限は、1仕訳100円で計算した額とほぼ同じです。料金表には、仕訳単価だけで計算するものと、基本料金に件数の段階を組み合わせるものがあり、同じ件数でも数千円の差が出ます。この節の冒頭の表(100〜250仕訳で6,000円〜2万円)は記帳代行会社の料金の幅、この表は100仕訳刻みの段階料金の目安で、数字が少しずれるのはこの決め方の違いによるものです。

自社の仕訳数がわからない場合は、預金通帳とカード明細の1か月分の行数を数えてください。現金の支払と請求書の件数を足すと、おおよその仕訳数になります。

見積もりを取るときは、繁忙期の月の件数で伝えるのが安全です。平均の月で伝えると、件数の多い月だけ上の段に上がり、その月の請求が増えます。見積書に「月◯仕訳まで」の上限と、超えた場合の単価が書かれているかもあわせて確認してください。

仕訳数が同じでも、料金を下げられることがあります。銀行やカードの明細を会計ソフトに自動で取り込めば入力の手間が減り、単価の見直しを相談する材料になります。詳しくは後の「料金が変わる5つの要因」で触れます。

依頼先による料金と、頼める範囲の違い

記帳を外に出す先は、大きく4種類あります。料金だけでなく、頼める範囲が依頼先によって違います。

依頼先料金の目安頼める範囲
税理士事務所記帳代行は月5,000円〜5万円(顧問料・決算申告料は別)記帳に加えて、申告書の作成、税務相談、税務調査での対応
記帳代行会社月5,000円〜2万円程度(月200仕訳前後まで)記帳と月次の試算表。申告書の作成と税務相談は不可
クラウドソーシング・フリーランス月数千円〜1万円程度から(作業ごと・時間ごとに個別に決める)依頼した作業。相手が税理士でなければ、申告書の作成と税務相談は不可
派遣・パート時給制。事務系の派遣スタッフの平均時給は1,700円前後(三大都市圏。エン派遣調べ、2026年6月)社内で指示した経理事務

派遣の場合、会社が派遣会社に払う料金は、スタッフの時給に派遣会社の取り分が加わった額になります。パートで直接雇う場合は、時給のほかに社会保険料などの負担が勤務時間に応じて生じます。

どれが優れているかではなく、向いている会社が違います。

  • 税理士事務所:記帳から決算・申告まで1か所にまとめたい会社。記帳の段階で税務上の扱いを決めておけるため、決算期の手戻りが少なくなります。反対に、記帳だけを安く頼みたい場合は、顧問契約が前提になるぶん割高に感じやすい依頼先です
  • 記帳代行会社:記帳だけを外に出し、決算は別の税理士に頼む会社。料金が仕訳数で決まり、見通しを立てやすい形です。会社によって対応できる会計ソフトが決まっていることがあるので、いま使っているソフトのまま頼めるかを先に確認してください
  • クラウドソーシング・フリーランス:仕訳が少なく、会計ソフトの使い方や科目の付け方を社内で指示できる会社。仲介の取り分が少ないぶん、費用を抑えやすい依頼先です。相手の実績と、帳簿や通帳のデータの扱い方は、契約前に自社で確かめる必要があります
  • 派遣・パート:社内に指示役がいて、日々の作業を社内で回したい会社。請求書の発行や支払の準備など、記帳以外の事務もまとめて任せられます。仕訳の付け方や締めの手順は社内で教えることになり、決算と申告は別に税理士に頼みます

記帳代行会社やフリーランスに頼む場合も、決算と申告は税理士に別に頼むことになります。比べるときは、決算を頼む税理士の料金まで足した年間の総額で並べてください。組み合わせ別の年間コストは、後の「3つを足すと、年間いくらか」で並べています。

記帳代行会社に申告や税務相談を頼めない理由

税理士法は、他人の求めに応じて行う「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つを税理士の業務と定めています(第2条第1項)。そのうえで、税理士でない者がこの業務を行うことを禁じています。

税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。

税理士法 第52条

一方、記帳の代行はこの3つに入っていません。同じ第2条の第2項で、税理士が業務に付随して行えるものとして別に挙げられています。記帳そのものは税理士業務に当たらず、第52条の制限を受けないため、記帳代行会社やフリーランスも記帳は請け負えますが、次の作業は税理士に頼むことになります。

  • 法人税・消費税などの申告書の作成と、申告の代理
  • 「この支出は経費になるか」「消費税はいくらになるか」といった、税額の計算に関わる相談
  • 税務調査での、税務署とのやり取りの代理

会社が自分で申告書を作ることは制限されていません。また、記帳代行会社の中には、グループや提携先の税理士事務所・税理士法人が申告を引き受ける形のところもあります。見積もりの段階で、申告の契約相手が税理士か税理士法人かを確認してください。

あわせて、次の2点も聞いておくと、決算期に慌てずに済みます。

  • 決算を頼む税理士に、帳簿をどの形式で渡すのか(会計ソフトのデータのままか、ファイルに書き出すのか)
  • 税務署から帳簿の内容について問い合わせがあったとき、誰が答えるのか

経理代行の相場

記帳だけでなく、請求書の管理や支払、入金確認、給与計算まで含む場合です。中小企業で月10〜30万円が標準、バックオフィス代行全般の平均は月5〜10万円程度とされています。

幅が大きいのは、どこまで含むかで変わるためです。目安として、含む業務が増える順に並べると次のようになります。

範囲月額の目安
記帳のみ5,000円〜3万円
記帳+経費精算3万〜7万円
記帳+買掛管理+支払(振込データ作成)7万〜15万円
上記+売掛管理+給与計算(経理部の機能をほぼ全部)15万〜30万円

「経理代行が高い」と感じたときは、この表のどの行と比べているかを確認してください。記帳のみの見積もりと、支払まで含む見積もりを並べても意味がありません。

給与計算と年末調整を頼む場合

給与計算は人数で料金が決まる料金表が多く、従業員1名あたり月1,000〜2,000円程度が目安です。これに月額の基本料金を設けるところもあります。従業員10名なら、月1万〜2万円に基本料金が加わる計算です。

上の表の「上記+売掛管理+給与計算」の行(15万〜30万円)は、記帳や支払の業務と合わせた額です。給与計算だけを外に出す場合は、この人数単価で見積もりを比べてください。

年末調整は、年に1回の追加料金とする料金表が一般的です。人数に応じた追加料金とする例が多いものの、単価の幅が大きく、目安を1つに絞れません。見積もりでは、年末調整が月額に含まれるか、別料金かを確認してください。手間は人数より雇用形態の種類で変わる点は、後の「料金が変わる5つの要因」のとおりです。

税理士顧問料の相場

法人の場合、月額1.5万〜10万円が目安です。年商規模で変わります。

年商月額顧問料決算申告料年間合計
〜1,000万円1.5万〜2.5万円10万〜15万円28万〜45万円
1,000万〜5,000万円2.5万〜5万円15万〜25万円45万〜85万円
5,000万〜2億円7万〜10万円32万〜45万円116万〜165万円

決算申告料は顧問料の4〜6か月分が目安とされ、年間コストのおよそ3分の1を占めます。月額だけを比べて契約すると、決算期に想定外の請求が来ます。見積もりは必ず年間の総額で比べてください。

「記帳代行込みの顧問料」かどうかで意味が変わります

同じ「月5万円」でも、記帳を自社でやる前提の顧問料と、記帳代行を含む顧問料では中身が違います。前者に記帳代行を足せば月7万円前後になります。比べるときは「記帳は誰がやるのか」を必ず揃えてください。

決算料の倍率にも同じことが言えます。「顧問料の4〜6か月分」という相場は、記帳代行込みの厚い顧問料を前提にした数字です。記帳を分けて考える事務所では顧問料が薄くなるぶん、倍率としては大きく見えます。倍率ではなく実額で比べてください。

3つを足すと、年間いくらか

従業員7名・年商5,000万円の会社を例に、組み合わせ別の年間コストを並べます。

年間コストと、会社に残る作業 従業員7名・年商5,000万円の会社の場合 記帳代行会社+税理士(決算のみ) 年30〜50万円 会社に残る作業 買掛 支払 売掛 給与 経費精算 税理士(記帳代行込みの顧問) 年116〜165万円 会社に残る作業 買掛 支払 売掛 給与 経費精算 税理士+経理代行 年200〜300万円 会社に残る作業 振込の承認 安い組み合わせほど、会社に残る作業が増えます。金額だけでは選べません。
組み合わせ年間コスト会社に残る作業
記帳代行会社+税理士(決算のみ)約30万〜50万円買掛・支払・売掛・給与・経費精算のすべて
税理士(記帳代行込みの顧問)約116万〜165万円買掛・支払・売掛・給与・経費精算
税理士+経理代行(経理部の機能まで)約200万〜300万円振込の承認のみ

いちばん安い組み合わせは、いちばん多くの作業が会社に残ります。どれが正しいという話ではなく、社内に誰がどれだけ時間を割けるかで選ぶものです。判断の材料は金額だけではありません。

料金が変わる5つの要因

同じ規模でも見積もりに差が出ます。主な要因は次の5つです。

  • 取引量/仕訳数、請求書の枚数、経費精算の件数。いちばん効きます
  • 拠点数/現金の管理場所が増えると、実査と突合の手間が拠点の数だけ増えます
  • 給与計算の人数/人数そのものより、雇用形態の種類(正社員・パート・日払い)が多いほど手間がかかります
  • 紙かデータか/領収書を紙の束で渡すか、スキャンやスマホ撮影でデータ化して渡すかで、同じ件数でも工数が変わります
  • 会計ソフト/銀行・カードの明細が自動連携されているかどうかで、記帳の手間が数倍変わります

後ろの2つは会社側で下げられるコストです。見積もりが高いと感じたら、渡し方を変えるだけで下がることがあります。何をどう渡せばいいかは税理士に経理を丸投げすると、いくらで、どこまで任せられるのかに書いています。

見積もりを比べるときの4つの確認事項

  1. 年間の総額で並べる/月額×12+決算料。決算料の記載がない見積もりは、必ず聞いてください
  2. 記帳は誰がやるのか/顧問料に含まれるのか、別料金か
  3. 件数の上限があるか/「月◯件まで」の記載と、超えた場合の単価。上限の記載がないと、後から追加請求の根拠になります
  4. ソフトの利用料は誰が払うのか/会計ソフトや請求書受領システムの利用料が別途必要な場合があります

当事務所の料金の決まり方

当事務所は仕訳単価の従量課金を採用していません。従業員数と前期売上高でプランを決め、月額を固定しています。取引が増えた月に請求額が跳ねると、予算が立てられないためです。

プランは規模に応じて6段階。税務顧問・決算申告・経理代行の3つを組み合わせた年間の総額でお見積りします。処理件数の上限と、超えた場合の単価は契約時に明示します。

代表的な2つのケースは社外経理部のご案内に実額で掲載しています。従業員5名・年商5,000万円で年179万円(税務顧問・決算申告を含む)が目安です。上の相場表と見比べてみてください。税務顧問と決算申告だけを取り出すと年95万円で、相場(116万〜165万円)より下に収まります。経理代行を足したぶんだけ総額が上がる構造です。

よくある質問

安い記帳代行を使って、決算だけ税理士に頼むのは損ですか?

損とは限りません。取引がシンプルで、社内に経理をわかる人がいるなら合理的な選択です。ただし決算期に帳簿の見直しが発生し、決算料が高くなることがあります。年間の総額で比べてください。

相場より安い事務所は何が違うのですか?

多くは業務範囲が狭いか、面談の頻度が少ないかのどちらかです。安いこと自体は問題ではありません。何が含まれていないかを確認したうえで、その部分を自社でやれるなら合理的です。

途中で料金が上がることはありますか?

規模が変われば見直しの対象になります。当事務所では前期売上高は決算のたびに、従業員数は増減が定着した時点で見直します。いずれもご相談のうえで、期中に一方的に変更することはありません。

見積もりを取るのに何を伝えればいいですか?

年商、従業員数、月間の請求書の枚数、給与計算の人数、使っている会計ソフト。この5つがあれば、おおよその金額は出ます。

まとめ

  • 記帳代行は1仕訳50〜100円、月100仕訳で5,000〜10,000円。ただし取引が増えれば増える
  • 経理代行は月10〜30万円。どこまで含むかで4倍以上変わる
  • 税理士顧問料は年商5,000万〜2億円で月7〜10万円+決算料32〜45万円
  • 決算料は年間コストの3分の1。月額だけで比べない
  • 安い組み合わせほど、会社に残る作業が多い
貴社の場合の年間総額を、その場でお出しします

年商・従業員数・請求書の枚数・給与の人数をうかがえば、税務顧問・決算申告・経理代行を含めた年間の総額をご提示できます。相場と見比べたうえでご判断ください。無理な営業はしません。

相場の数値は、経理代行・税理士紹介サービス各社が公表している料金相場の解説記事を複数参照し、レンジとして整理したものです(2026年9月時点)。実際の金額は事業者・業務範囲・地域により変動します。