「経理を丸投げしたい」と検索される方の多くは、すでに限界が来ています。経理担当が辞めた、社長が夜と週末に領収書を打ち込んでいる、月末の支払いが山になる。この記事では、税理士に経理を丸投げすると実際にいくらかかり、どこまで任せられて、何が手元に残るのかを、当事務所の実際の料金と運用にもとづいて書きます。

相場の話だけで終わらせず、顧問先40社の経理をお預かりしている中で実際に使っている金額と手順を、そのまま出します。

目次
  1. 「丸投げしたい」と思うのは、たいてい3つの場面
  2. 税理士に丸投げできる経理業務は、7つに分かれる
  3. 税理士に丸投げするメリット
    1. 申告期限に追われにくくなる
    2. 節税の提案を、決算の前に受けられる
    3. 税務調査で処理の理由を説明しやすい
    4. 判断に使える数字が早く手に入る
  4. 「記帳代行」と「経理代行」は何が違うのか
  5. 丸投げできないこと
    1. 1. 振込の実行(アップロード・承認)
    2. 2. 社会保険の手続き・労務相談
    3. 3. 請求書の発行代行(売上側)
    4. 4. freee以外の会計ソフトでの経理代行
  6. 税理士に領収書やレシートだけを丸投げできますか?
  7. 費用はいくらか
    1. 従業員5名・年商5,000万円の場合
    2. 従業員10名・年商1億円の場合
    3. 「丸投げパック」のような定額プランはありますか?
  8. 経理担当を採用する場合と比べる
  9. 決算だけを税理士に丸投げできますか?
  10. 丸投げしても、貴社に残る作業は3つ
    1. 作業ではないが、会社に残るもの(申告の責任と書類の保存)
  11. 実際にどう動くのか
  12. 丸投げのデメリットと、その対処
    1. 社内に経理の知識が残らない
    2. 依頼先を変えるときに手間がかかる
    3. 月次の数字を見なくなる
  13. 丸投げが向いている会社、自計化が向いている会社
    1. 丸投げが向いている会社
    2. 自計化が向いている会社
  14. 税理士と経理代行会社、どちらに頼むか
  15. よくある質問
    1. 遠方でも依頼できますか?
    2. いまは自分で経理をしています。引き継ぎは大変ですか?
    3. サービス料金のほかに、かかる費用はありますか?
    4. 合わなかったとき、解約はできますか?
    5. 顧問税理士は変えないといけませんか?
    6. インボイス制度が始まってから、経理の負担は増えましたか?
  16. まとめ

「丸投げしたい」と思うのは、たいてい3つの場面

ご相談をいただくきっかけは、ほぼこの3つに集約されます。

  • 経理担当が辞めた・採用しても定着しない/結局、社長が夜と週末に入力している
  • 請求書の支払いが月末に山になる/紙・PDF・メールに散らばり、払い漏れや二重払いが怖い
  • 記帳が追いつかず、試算表が締まらない/月次の数字がいつも数か月遅れで、判断の材料にならない

いずれも「一部だけ手伝ってほしい」では解決しません。工程が途中で切れると、結局そこで滞留するからです。丸投げが選ばれるのは、切れ目をなくすためです。

税理士に丸投げできる経理業務は、7つに分かれる

「経理の丸投げ」と一口に言っても、中身は7つの工程に分かれます。どこまでを任せるかで、料金も、手元に残る作業も変わります。

工程任せると何が起きるか
記帳・仕訳会計ソフトへの仕訳計上と月次試算表の作成。経理の土台がまるごと外に出ます。
買掛管理(支払)届いた請求書の集約・内容確認・支払期日の管理。請求書に触れる必要がなくなります。
振込データの作成支払期日に合わせて総合振込・給与振込のデータを作成。ネットバンキングに取り込むだけの状態で届きます。
売掛管理(入金)売上請求の入金確認と消込。未入金の把握が自動的に回ります。
給与計算毎月の給与計算から年末調整、明細の発行まで。
経費精算立替経費の内容チェックと精算処理。
決算・申告年1回の決算書作成と法人税・消費税等の申告。
丸投げする前 7つとも、貴社で抱えていた 貴社 記帳・仕訳 買掛管理 振込データ 売掛管理 給与計算 経費精算 決算・申告 丸投げした後 7つとも、当事務所の担当者が受け持ちます 当事務所 記帳・仕訳 買掛管理 振込データ 売掛管理 給与計算 経費精算 決算・申告 貴社に残る この3つだけ 送り先の切り替え 最初の一度だけ レシートを撮る 現金で払った分 振込データの承認 資金は必ず貴社で

当事務所では、顧問先40社の経理をお預かりしています。「記帳だけ」ではなく、お金の入りから出までを一体で持つのが標準という前提で設計しています。

税理士に丸投げするメリット

税理士に経理を丸投げするメリットは、作業が減ることだけではありません。毎月の記帳を担当する人と、決算・申告を担当する人が同じになることで、次の4つが得られます。

申告期限に追われにくくなる

記帳を毎月税理士が進めていれば、決算日の時点で1年分の数字がほぼ揃っています。申告期限の直前に、1年分の資料を集め直す状態になりにくくなります。

節税の提案を、決算の前に受けられる

利益の見込みが月々わかるため、決算日より前の時点で、使える制度や支出の時期について税理士から提案を受けられます。実際に税額がどれだけ変わるかは、会社の状況によります。

税務調査で処理の理由を説明しやすい

記帳から申告まで同じ税理士が担当していれば、税務調査で仕訳について質問されたときに、なぜその処理にしたのかを説明しやすくなります。税理士は税務代理として、調査の場で会社に代わって主張や説明を行うこともできます(税理士法第2条)。

判断に使える数字が早く手に入る

記帳が溜まらなければ、月々の利益や資金の動きを早い段階で確認できます。融資の相談や、人を増やすかどうかの判断に、数か月前の数字を使わずに済みます。

「記帳代行」と「経理代行」は何が違うのか

この2つは混同されがちですが、範囲がはっきり違います。

記帳代行は、上の表でいう「記帳・仕訳」だけを指します。通帳や領収書をお預かりして会計ソフトに入力し、試算表を作るところまでです。多くの事務所が「仕訳1件あたり◯円」「月◯件まで◯円」という形で料金を出しているのは、この範囲を指しています。

経理代行は、記帳の前後にある実務まで含みます。請求書を受け取って支払期日を管理する、振込データを作る、入金を消し込む、給与を計算する。お金が動く前の準備と、動いた後の記録の両方です。

「記帳だけ頼んだが、結局こちらの作業が減らなかった」という話が起きるのはこの差です。仕訳を入力するだけなら、経理の仕事はまだ半分も回っていません。請求書を開いて、期日を確認して、振込の準備をする——この部分が手元に残っている限り、月末の負荷は変わらないからです。

丸投げできないこと

先に、できないことを書きます。ここを曖昧にしたまま契約すると、「丸投げしたはずなのに作業が減らない」という不満になります。

1. 振込の実行(アップロード・承認)

資金を動かす操作は、必ず貴社で行っていただきます。当事務所が担当するのは振込データの作成までで、ネットバンキングへの取り込みと承認は貴社の手で行う設計です。安全のための線引きであり、この一点は動かしません。

2. 社会保険の手続き・労務相談

社会保険労務士の独占業務にあたるため、提携の社会保険労務士と連携して対応します。給与計算との橋渡しは当方で設計します。

3. 請求書の発行代行(売上側)

請求書の発行はクラウド会計ソフトで自社で早く・低コストにできるため、代行はしていません。代行するとかえって情報連携の手間が増え、依頼する側の利点が小さいからです。発行体制の立ち上げはお手伝いします。

4. freee以外の会計ソフトでの経理代行

当事務所のサービスはfreeeの利用を前提に設計しており、他の会計ソフトには対応していません。他ソフトをお使いの場合は、freeeへの移行支援からお手伝いします。

税理士に領収書やレシートだけを丸投げできますか?

お預かりできます。ただし、領収書とレシートだけでは経理は終わりません。

標準の渡し方は、freeeのファイルボックスにスマートフォンで撮って入れていただくだけです。封筒に詰めて送っていただく必要はありません。原本は貴社で保管してください。

撮る手間もかけたくない、紙のまま送りたい、という場合はスキャン代行を別途お見積りで承ります。この場合も、お預かりした原本はスキャン後に貴社へ返却します。当事務所で紙を保管し続けることはしていません。紛失のリスクを増やすだけだからです。

問題は、領収書とレシートだけでは経理の一部しか動かないことです。領収書から作れるのは「記帳・仕訳」と「経費精算」の一部だけで、売上の入金、請求書の支払い、給与計算には別の資料が要ります。領収書だけをお預かりして仕訳を起こしても、試算表は締まりません。

実際に月次を締めるために効くのは、領収書を送ることよりも銀行口座とクレジットカードの連携です。連携さえしていれば、支払いの大半は自動で取り込まれ、領収書はその裏づけとして紐づける役割になります。連携がないと、領収書が何百枚あっても、通帳を見るまで入出金が確定しません。

そのため当事務所では、はじめの運用設計で口座とカードの連携を先に済ませていただき、領収書・レシートは「撮って入れるだけ」に寄せています。なお、連携の操作そのものは貴社で行っていただきます。当事務所がネットバンキングのログイン情報をお預かりすることはありません。手順はご案内しますので、画面を見ながら進めていただく形になります。

費用はいくらか

税理士に記帳から決算・申告までを丸投げする場合、法人の費用は「税務顧問料(月額)」「記帳代行料」「決算申告料(年1回)」の3つの合計で決まります。公開されている解説では、次の水準が一般的な目安として示されています。

項目法人の一般的な目安
税務顧問料(月額)月2万円〜(記帳代行を含まない場合)
記帳代行料顧問料に含める場合、合わせて月4万円〜
決算申告料(年1回)月額顧問料の4〜6か月分

顧問料は年商や仕訳数に応じて上がり、年商5,000万円以上の法人では月4万〜6万円以上とする解説もあります。決算申告料も、顧問料に連動して上がります。

ただし、この3つに入っているのは記帳と税務までです。給与計算や年末調整は別料金とされることが多く、請求書の支払管理、振込データの作成、入金の消込は、この3つの範囲の外にあります。なお個人事業主の相場はこれより低い水準で示されますが、この記事は会社(法人)の経理を前提にしているため、法人に絞っています。

一方で、記帳代行だけを「仕訳1件あたり◯円」の単価で示す相場表もあり、ここに挙げた3つの費用とは比べている範囲が違います。

「経理 丸投げ 費用」で調べると相場表が並びますが、多くは記帳代行だけの単価です。仕訳数あたりいくら、という形で示されるため、実際に丸投げしたときの総額とは開きが出ます。

ここでは相場ではなく、当事務所の実際の料金を、税務顧問料・決算申告料まで含めた年間の総額で示します。

従業員5名・年商5,000万円の場合

経理担当はおらず、社長と総務が兼務している会社を想定します。

経理代行(月額)70,000円
税務顧問料(月額)50,000円
決算申告料(年1回)350,000円
年間の総額1,790,000円(税抜)

月あたりに均すと約149,000円です。

従業員10名・年商1億円の場合

経理を1人雇うか、外に出すかを迷っている規模です。

経理代行(月額)150,000円
税務顧問料(月額)60,000円
決算申告料(年1回)420,000円
年間の総額2,940,000円(税抜)

月あたりに均すと約245,000円です。

金額は取引量・拠点数・給与計算の人数によって変わります。また、はじめの2か月は業務を引き継ぎながら運用をすり合わせる期間のため、トライアル価格(経理代行と税務顧問の合計額の50%)でお受けしています。合わないと感じられた場合は、そこで終わりにしていただけます。

「丸投げパック」のような定額プランはありますか?

当事務所では定額パックの形にしていません。経理の作業量は売上規模ではなく、取引量・拠点数・給与計算の人数で決まるため、定額にすると実態と合わなくなるからです。なお「丸投げパック 月額◯円」という形で料金を示している税理士事務所もあります。比べやすくはあるのですが、検討されるときは上限がどこに設定されているかを見てください。仕訳数・支払件数・給与計算の人数などに上限があり、超えた分は別料金になっていることがあります。

同じ年商5,000万円でも、取引先が10社の会社と200社の会社では、記帳も支払いも量が一桁違います。定額で示すと、量の少ない会社には割高になり、多い会社では上限を超えて追加請求になりがちです。そのため当事務所では、目安としてモデルケースの総額(従業員5名・年商5,000万円の会社で年間179万円など)を示し、実際の金額は直近の試算表と、支払・給与の件数を拝見して決めています。

経理担当を採用する場合と比べる

丸投げを検討する方が本当に比べたいのは、他社の料金ではなく「雇う場合」との差だと思います。

経理職の平均年収は500万円前後(複数の転職サービスが公表している調査による)で、従業員100人未満の企業ではこれより低いのが実勢です。年収450万円の人を雇えば、社会保険料の会社負担(年収の15.7〜16.5%)を含めて会社の負担は年520万円前後になります。これに採用費と教育にかかる時間が乗ります。

従業員5名 年商5,000万円 雇う 年400〜520万円 丸投げ 年84万円 ▼ 年316万〜436万円 軽い(顧問料・決算申告料は含みません) 従業員10名 年商1億円 雇う 年460〜580万円 丸投げ 年180万円 ▼ 年280万〜400万円 軽い(顧問料・決算申告料は含みません)

いずれも顧問料・決算申告料は含みません。経理担当を雇う場合も、決算申告には税理士が必要で、どちらを選んでも同じようにかかる費用だからです。なお当事務所は税務顧問とセットでのご契約となり、顧問料・決算申告料は別途申し受けます。

金額以上に大きいのが退職リスクです。経理は業務が属人化しやすく、担当者が辞めると引き継ぎに時間がかかり、その間は社長が代わりに手を動かすことになります。そして次の人を採用するコストがまたかかります。外に出していれば、この波が来ません。

決算だけを税理士に丸投げできますか?

当事務所ではお受けしていません。受けている事務所もありますが、期中の記帳がない状態からの決算は費用が高くつくうえ、決算日を過ぎてからでは打てる手も減っているためです。

ひとつめは費用です。期中の記帳がない状態からの決算は、実際には「12か月分の記帳」と「決算・申告」をまとめて行う作業になります。決算申告料は毎月の記帳が済んでいることを前提にした金額なので、そこに記帳の分が乗ります。1年分の資料を一度に突き合わせるほうが時間がかかるため、月々に均すと、はじめから月次でお預かりする場合より高くなることが多いです。安く済ませるつもりで決算だけ切り出すと、逆になります。

ふたつめは期限です。法人税の申告期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内と決まっています。この期間に1年分の記帳と決算を通すには、資料が最初から揃っている必要があります。さらに、決算日を過ぎてからのご相談では、翌期の消費税の計算方法(簡易課税など)の選択は、原則としてすでに締め切られています。この届出は適用を受けたい事業年度が始まる前日までに出す必要があるためで、決算作業を急いでも間に合うものではありません。

つまり決算だけを切り出すと、費用は高くつくのに、打てる手は減っている状態になりやすいということです。しかも翌期も同じ状態から始まります。経理が積み上がらないので、毎年決算前に同じ作業が発生します。

そのため当事務所では、月次でお預かりすることを前提にご提案しています。いま記帳が止まっているという状態からでもお引き受けできますが、遡って記帳する分は別途お見積りになります。月次に載せ替えたあとの月額とは分けてお示しするので、どこまでが過去分の費用かが分かる形になります。

丸投げしても、貴社に残る作業は3つ

経理代行でいちばん多い不満は「丸投げしたはずなのに、結局こちらの作業が減らない」というものです。だから曖昧にしません。お願いするのは、この3つだけです。

  1. 請求書の送り先を、一度だけ切り替える/取引先へのご案内文はこちらで用意します。最初の一度きりで、以降は請求書に触れる必要がなくなります。
  2. レシートをスマホで撮る/現金で払った分だけ。撮って送っていただければ、こちらで処理します。
  3. 振込データを取り込んで、承認する/お渡しした振込データをネットバンキングに取り込み、承認していただきます。資金を動かす操作は必ず貴社で。

逆に言えば、これ以外の工程は手元に残りません。

作業ではないが、会社に残るもの(申告の責任と書類の保存)

上の3つは作業です。これとは別に、丸投げしても会社から外れないものが2つあります。申告の責任と、帳簿書類の保存です。

ひとつは申告の責任です。法人税の申告書を提出する義務を負うのは会社で(法人税法第74条)、税理士は代理で作成・提出する立場です。税務調査で誤りを指摘され、修正申告や更正になった場合の過少申告加算税も、会社に課されます(国税通則法第65条)。売上や経費の漏れを税理士が見つけられるよう、資料を省かずに回していただく必要があるのはこのためです。

もうひとつは保存です。法人は、帳簿と、領収書・請求書・契約書などの書類を、原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。欠損金(赤字)が出た事業年度は、その欠損金を翌期以降に繰り越して使うために10年間の保存が必要です(平成30年4月1日以後に開始した事業年度の場合。法人税法施行規則第59条・第67条・第26条の3)。

当事務所ではデータを貴社のfreeeアカウントの中に置く設計にしているため、保存の主体が貴社であることとも食い違いません。紙の原本を処分してよいかどうかは、電子帳簿保存法の要件を満たしているかで変わるため、運用設計の段階で確認します。

実際にどう動くのか

いちばん変わるのが請求書の処理です。理想の形は、取引先に請求書を専用のメールアドレスへ直接送ってもらう体制です。請求書が貴社の手元を経由しなくなるため、受け取り・整理・保管・入力・振込準備がすべて貴社の仕事でなくなります。

  1. 取引先が直接送る/専用アドレス宛に請求書が届きます
  2. 1か所に集まる/請求書受領システムに集約され、電子帳簿保存法にも対応します
  3. 当事務所が計上/税区分・インボイス登録番号まで確認して会計ソフトへ
  4. 振込データになる/支払期日に合わせて作成し、お渡しします

もちろん、貴社に届いたものを転送するだけの運用から始めることもできます。当事務所では現在このフローを5社で運用しています。

なお、初回のご相談から本稼働までは2〜3か月を目安にみてください。業務の棚卸しと運用設計に時間をかけたほうが、結果として早く安定します。

丸投げのデメリットと、その対処

良いことばかりではありません。検討する前に知っておいていただきたい点を3つ挙げます。

社内に経理の知識が残らない

工程を外に出す以上、社内に経理の実務経験は蓄積されません。将来的に経理部門を自社で持つ方針であれば、丸投げは遠回りになります。

一方で、数字を読む力と、入力する力は別物です。試算表の読み方や資金繰りの見方は、月次の打ち合わせでお伝えできます。「経理を自社でやる」ことと「経営の数字がわかる」ことを分けて考えると、判断しやすくなります。

依頼先を変えるときに手間がかかる

外注先を変えると、運用の引き継ぎが発生します。これは事実です。

当事務所では、データを自社のシステムに囲い込まず貴社のfreeeアカウントの中に置く設計にしています。仕訳も証憑も貴社の資産として残るため、万一お別れすることになっても、データごと持ち出せない状態にはなりません。手順も文書に残します。

月次の数字を見なくなる

任せきりにすると、試算表が上がってきても開かなくなる——これは実際に起きます。

ただ、丸投げしていない会社のほうが数字を見ているかというと、そうとは限りません。記帳が数か月遅れていれば、そもそも見る数字が存在しないからです。資料が適切に共有されていれば、経営の数字はむしろ早い段階で見えるようになります。

丸投げが向いている会社、自計化が向いている会社

丸投げと対になる選択肢が「自計化」です。社内で会計ソフトに入力し、税理士には内容の確認と決算・申告を頼む形をいいます。どちらが合うかは、社内に経理を続けて担える人がいるかどうかで、ほぼ決まります。

丸投げが向いている会社

経理担当がいない、または辞めたばかりで、社長や総務が兼務している会社。記帳が数か月遅れていて、試算表が判断に使えていない会社。創業から間もなく、経理の仕組みをこれから作る会社。いずれも、社内で手を動かせる人がいないことが共通しています。

自計化が向いている会社

経理の実務を担える人が社内にいて、今後も続けられる会社。将来、経理部門を自社で持つ方針の会社。日々の数字を社内で細かく追いたい会社。この場合は、社内の入力を税理士が確認する形のほうが、費用も抑えやすくなります。

迷う場合は、「いまの担当者が辞めたら、誰が入力するか」で考えてみてください。答えが社長ご自身なら、丸投げを検討する価値があります。(採用する場合との費用の比較は、この記事の中ほどで説明しています)

税理士と経理代行会社、どちらに頼むか

経理の丸投げ先には、税理士事務所と、税理士資格を持たない経理代行会社の両方があります。料金だけを見れば代行会社のほうが安い場合もありますが、違いは工程が途中で切れるかどうかです。

  • 月次から決算・申告まで一体で担当できる/代行会社に記帳を頼むと、決算と申告は別の税理士に依頼することになります。数字の前提が2者に分かれると、確認のやり取りが増えます
  • 仕訳の段階で税務判断ができる/記帳は「入力」ではなく判断の連続です。交際費と会議費、資産計上と一括経費、消費税の区分。ここを決算時にまとめて直すと手戻りが大きくなります
  • 守秘義務が法律で定められている/税理士には税理士法上の守秘義務が課されており、違反には罰則があります

当事務所は顧問先の9割以上から記帳までまるごとお預かりしている「預かる前提」の事務所です。開業以来、お客様のご都合による解約は一度もありません(2026年8月現在)。

よくある質問

遠方でも依頼できますか?

全国対応です。日々のやり取りはチャットツール(貴社がお使いのもの)で行い、打ち合わせはWeb会議で完結します。

いまは自分で経理をしています。引き継ぎは大変ですか?

会計ソフトの現状を拝見したうえで、初月に運用設計と移行を当方で行います。過去分の整理が必要な場合も、範囲を決めてお引き受けします。

サービス料金のほかに、かかる費用はありますか?

freee有料プランの利用料は貴社にてご契約・ご負担いただきます。また請求書の支払処理が月50件以上、または経費精算が月100件以上の場合は、請求書受領システムを別途貴社にてご契約いただく必要があります。

合わなかったとき、解約はできますか?

はじめの2か月はトライアル価格の期間ですので、合わないと感じられたらそこで終わりにしていただけます。その後も1か月前のお申し出で解約でき、期間の縛りはありません。

顧問税理士は変えないといけませんか?

月次から申告まで一体で品質を担保するため、税務顧問とセットでのご契約をお願いしています。経理代行のみのご契約は承っておりません。

インボイス制度が始まってから、経理の負担は増えましたか?

増えています。消費税を原則の方法で計算している会社では、インボイス登録をしていない事業者からの仕入れについて消費税の全額は差し引けず、差し引ける割合は2026年10月1日以後の仕入れから、80%から70%に下がりました。相手が登録事業者かどうかを確かめる手間そのものは変わりませんが、判定を誤ったときに税額へ響く幅が大きくなり、会計ソフトで選ぶ税区分も10月1日を境に切り替わりました。(簡易課税や2割特例で計算している会社には関係ありません。なお2割特例は、2026年9月30日を含む課税期間で終わり、法人はその後は使えません)

70%が適用されるのは2028年9月30日までの仕入れで、その後は2028年10月から50%、2030年10月から30%となり、2031年10月からは差し引けなくなります(令和8年度税制改正)。

実務では、1件ずつ「相手が登録事業者かどうか」を確認し、会計ソフト上で違う税区分を選び分ける作業になります。2026年10月1日をまたぐ月は、同じ取引先でも日付によって税区分が分かれます。手作業では取り違えが起きやすいところです。

この判定は当事務所側で行います。貴社にお願いするのは、受け取った請求書や領収書をそのまま回していただくことだけです。freeeでの税区分の切り替え方は「インボイス経過措置はいつまで?2026年10月から70%に」で説明しています。

(出典:国税庁「令和8年度税制改正特集」)

まとめ

  • 丸投げできるのは7つの工程(記帳・買掛・振込データ・売掛・給与・経費精算・決算申告)
  • できないのは振込の実行・社会保険手続き・請求書の発行代行・freee以外での対応
  • 費用は従業員5名で年179万円、10名で年294万円(税務顧問料・決算申告料込み・税抜)
  • 採用する場合と比べて経理の費用は年280万〜436万円軽く、退職リスクもなくなる
  • 手元に残るのは送り先の切り替え・レシート撮影・振込の承認の3つだけ

まずは30分、いまの経理の状態をお聞かせください。現状の経理体制と処理の流れをうかがい、貴社の課題をどのように解決できるのかをお話しします。うかがった内容をもとにお見積りをご提出します。無理な営業はしません。

経理をまるごとお預かりする「社外経理部」

この記事で書いた7つの工程を、freeeとバクラクを使ってどう回すのか。料金の内訳、導入までの流れ、お受けしないことまで、サービスの全体像をまとめています。